舍利弗、若し人有りて、已に發願し、今發願し、當に發願して、阿彌陀佛の國に生れんと欲はん者は、是の諸の人等、皆阿耨多羅三藐三菩提を退轉せざることを得、彼の國土に於て、若しは已に生じ、若しは今生じ、若しは當に生ぜん。是の故に舍利弗、諸の善男子・善女人、若し信ずること有らん者は、當に發願して彼の國土に生ずべし。」

 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。釋迦如來の大慈悲、娑婆に應現して有縁を度したまふ。有縁三千界に徧滿せるも、機に隨ひて示悟して貪癡を斷ぜしめ、總じて勸めて此の人天の樂を厭はしめたまふ。無常八苦の火人を燒く。念佛誦經すれば罪障を除き、諸佛遙に加して身を護念したまふ。晝夜六時に強く發願して、心を持ちて散ぜざれば業還成ず。業成ずれば佛華臺主を見たてまつる。須臾に變じて紫金臺と作り、佛に從ひて逍遙として寶國に入り、畢竟じて永く愁憂の聲を絶たん。衆等心を回して皆往かんことを願じて、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

[轉經分 第十七段]
 高座入文。

「舍利弗、我今諸佛の不可思議功德を稱讚するが如く、彼の諸佛等も、亦我が不可思議功德を稱説して是の言を作さく。釋迦牟尼佛、能く甚難希有の事を爲し、能く娑婆國土の五濁惡世、劫濁・見濁・煩惱濁・衆生濁・命濁の中に於て、阿耨多羅三藐三菩提を得て、諸の衆生の爲に是の一切世間難信の法を説きたまふと。舍利弗、當に知るべし、我五濁惡世に於て、此の難事を行じ、阿耨多羅三藐三菩提を得て、