一切世間の爲に此の難信の法を説く。是を甚難と爲す。佛此經を説き已りたまふに、舍利弗及び諸の比丘、一切世間の天・人・阿脩羅等、佛の所説を聞きて、歡喜し信受して、禮を作して去りにき。」

 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。世尊慇懃に身子に告げて、諸佛の大悲の同じきことを表知せしめたまふ。互相に德を讚じて心異なること無く、巧に時機に應じて各々功有り。六方の如來皆讚嘆したまふ。釋迦の出現甚だ逢ひ難し。正しく五濁の時の興盛なるを治す。無明頑硬にして高峰に似たり、劫濁の時移りて身漸く小なり、衆生濁惡にして蛇龍に等し。惱濁徧滿して塵數に過ぎ、愛憎違順して岳山の若し。見濁藂林棘刺の如し、命濁中夭刹那の間なり。依正二報同時に滅し、正に背き邪に歸して橫に怨を起す。九十五種皆世を汚す、唯佛の一道獨り淸閒なり。菩提に出到して心盡くること無く、火宅に還來して人天を度せん。衆等心を回して皆往かんことを願じて、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。

 高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。

願はくは往生せん、願はくは往生せん。如來五濁に出現して、宜しきに隨ひて方便して羣萌を化したまふ。或は多聞にして得度すと説き、或は少しく解りて三明を證すと説く。或は福慧雙べて障を除くと敎へ、或は禪念して坐して思量せよと敎ふ。種種の法門皆解脱すれども、念佛して西方に往くに過ぎたるは無し。上一形を盡し十念・三念・五念にに至るまで、佛來迎したまふ。直に彌陀の弘誓重れるを爲て、凡夫念ずれば即ち生ぜしむることを致す。衆等心を回して皆往かんことを願じて、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。