阿彌陀佛の眞金色の身に、光明徹照し、端正無比にして、心眼の前に在ますと想念せよ。正しく佛を念ぜん時は、若し立せんには即ち立して念ずること一萬・二萬せよ、若し坐せんには即ち坐して一萬・二萬せよ。道場の内に於ては、頭を交へて竊に語ることを得ざれ。

晝夜或は三時・六時に、諸佛、一切の賢聖、天曹・地府、一切の業道に表白して、一生已来の、身口意業の所造の衆罪を發露し懺悔せよ。事實に依て懺悔し竟りて、還法に依て佛を念ぜよ。所見の境界は輒く説くことを得ず、善ならば自ら知り、惡ならば懺悔せよ。酒・肉・五辛は、誓ひて發願して手に捉らざれ、口に喫はざれ。若そ此の語に違せば即ち身口倶に惡瘡を著けんと願ぜよ。或は願じて『阿彌陀經』を誦すること十萬徧を滿たし、日別に佛を念ずること一萬徧せよ。經を誦すること日別に十五徧、或は誦すること二十徧・三十徧、力の多少に任すべし。淨土に生ぜんことを誓ひ、佛の攝受を願ぜよ。

又行者等、若しは病み病まざらんも、命終らんと欲せん時は、一ら上の念佛三昧の法に依て、正しく身心に當てて、面を廻らして西に向け、心も亦專注して、阿彌陀佛を觀想し、心口相應して聲聲絶ゆること莫く、決定して往生の想、華臺の聖衆來りて迎接する想を作せ。病人若し前の境を見ば、即ち看病の人に向ひて説け。既に説くを聞き已らば、即ち説に依て録記せよ。又病人若し語ること能はずば、看病の人必ず須く數數病人に問ふべし、何なる境界をか見たると。若し罪相を説かば、傍の人即ち爲に念佛して、助けて同じく懺悔して、必ず罪をして滅せしめよ。若し罪を滅することを得、華臺の聖衆念に應じて現前すれば、前に準じて抄記せよ。又行者等の眷屬六親、若し來りて看病せば、酒・肉・五辛を食せる人を有らしむること勿れ。若し有らば必ず病人の邊に向ふことを得ざれ。即ち正念を失ひ、鬼神交亂し、病人狂死して三惡道に墮せん。願はくは行者等、好く自ら謹愼して佛敎を奉持し、同じく見佛の因縁を作せ。已前は是入道場、及び看病人の法用なり。