[五縁功德分]
經に依て五種增上縁の義を明す一卷。
『無量壽經』に依る一。
『十六觀經』に依る二。
『四紙阿彌陀經』に依る三。
『般舟三昧經』に依る四。
『十往生經』に依る五。
『淨土三昧經』に依る六。
謹みて釋迦佛の敎、六部の往生經等に依て、阿彌陀佛を稱念して、淨土に生ぜんと願ずる者、現生に即ち延年轉壽を得て、九橫の難に遭はざることを顯明す。一一は具に下の五縁義の中に説くが如し。問て曰く。佛一切の衆生を勸めて、菩提心を發して西方の阿彌陀佛國に生ぜんことを願ぜしむ。又勸めて、阿彌陀の像を造りて稱揚禮拜し、香華供養し、日夜觀想して絶えざらしむ。又勸めて專ら彌陀佛の名を念ぜしむること、一万・二万・三万・五万、乃至十万する者、或は勸めて『彌陀經』を誦せしむること、十五・二十・三十・五十、乃至一百して、十万徧を滿てん者は、現生に何なる功德か得る。百年捨報の已後何なる利益か有る。淨土に生ずることを得やいなや。答て曰く。現生及び捨報に、決定して大功德利益有り。佛敎に準依して五種の增上利益の因縁を顯明せん。