乃至六日まです。父母・知識、八万四千の諸の婇女等、同時に悲泣して大精進を禮し、尋で出家を聽せり。既に出家すること得、像を持して山に入り、草を取りて座と爲し畫像の前に在りて結跏趺坐して一心に諦かに觀ずらく、此の畫像は如來に異ならず。像は覺に非ず知に非ず、一切の諸法も亦復是の如し。相无く相を離れ、體性空寂なりと。是の觀を作し已りて、日夜を經て、五通を成就し、四无量を具足し、无礙辨を得、普光三昧を得、大光明を具せり。淨天眼を以ては東方の阿僧祇の佛を見、淨天耳を以ては佛の所説を聞きて、悉く能く聽受せり。七月を滿足するに、智を以て食と爲し、一切の諸天、華を散じて供養せり。山より出でて村落に來至し、人の爲に法を説く。二萬の衆生菩提心を發し、无量阿僧祇の人、聲聞・縁覺の功德に住し、父母・親眷も皆不退の无上菩提に住しきと。佛迦葉に告げたまはく。昔の大精進は今の我が身是なり。此の觀像に由て、今成佛することを得たり。若し人有りて能く此の如き觀を學ばば、未來に必ず當に无上道を成ずべし」と。『譬喩經』の第二に云く。「昔比丘有り。其の母を度せんと欲せしに、母已に命過れり。便ち道眼を以て天上・人中・擒狩・薜茘の中に求索せれども、了に之を見ず、泥を觀るに母中に在るを見る。便ち懊惋し悲哀して廣く方便を求め、其の苦を脱せんことを欲せり。時に邊境に王有り、父を害して國を奪へり。比丘此の王の命の餘すところ七日有り、罪を受くる地は、比丘の母と同じく一處に在りちいふことを知りて、夜安靖なる時に、王の寢殿處に到り、壁を穿ちて半身を現せり。王怖れて刀を拔きて頭を斫る。頭即ち地に落つるに、其の處故の如し。之を斫ること數反するに、化せる頭地に滿つれども、比丘は動かず。王意即ち解け、其の非常なることを知り、叩頭して過を謝せり。比丘言く。恐るること莫れ怖るること莫れ、相度せんと欲するのみ。汝父を害して國を奪ひしやいなや。對へて曰く。實に爾なり。願はくは慈救せられよ。比丘曰く。大功德を作すとも、恐らくは相及ばざらん。王よ當に南无佛と稱すべし。