[九、往生諸行 諸經]
第一に諸經を明さば、『四十華嚴經』の普賢願・『三千佛名經』・『无字寶篋經』・『法華經』等の諸の大乘經、『隨求』・『尊勝』・『无垢淨光』・『如意輪』・『阿嚕力迦』・『不空羂索』・『光明』・『阿彌陀』及び龍樹の『所感往生淨土』等の咒なり。此等の顯密の諸大乘の中に、皆受持・讀誦等を以て、往生極樂の業と爲るなり。『大阿彌陀經』(卷下意)に云く。「當に齋戒し、一心淸淨にして、晝夜に當に念じて、阿彌陀佛の國に生ぜんと欲し、十日十夜斷絶せざるべし。我皆之を慈愍して、悉く阿彌陀佛の國に往生せしめん。殊使に爾すること能はずば、自ら思惟して熟々授計せよ。身を度脱せんと欲する者は、當に念を絶つべからず。愛を去りて家事を念ふこと勿れ、婦女と同床すること莫れ、自ら身心を端正にして、愛欲を斷じ、一心に齋戒淸淨にして、至專に阿彌陀佛の國に生れんと念じて、一日一夜斷絶せざれば、壽終りて皆其の國に往生し、七寶の浴池の蓮華の中に在りて化生せん」と。此の經は持戒を以て首と爲す 『十往生彌陀佛國經』(意)に云く。「吾今汝が爲に説かん。十の往生有り。云何が十の往生なる。一には身を觀じて正念にして常に歡喜を懷き、飮食・衣服を以て、佛及び僧に施さば、阿彌陀佛の國に往生す。二には正念にして世の妙なる良藥もて一の病比丘及以び一切の衆生に施さば、阿彌陀佛の國に往生す。三には正念にして一の生命をも害せず一切に慈悲せば、阿彌陀佛の國に往生す。四には正念にして師の所に從ひて戒を受け、淨惠もて梵行を修し、心に常に喜を懷かば、阿彌陀佛の國に往生す。五には正念にして父母に孝順し、師長を敬重して憍慢の心を懷かずば、阿彌陀佛の國に往生す。六には正念にして僧房に往詣し、塔寺を恭敬し、法を聞きて一義を解らば、阿彌陀佛の國に往生す。七には正念にして一日一宿の中八戒齋を受持し、一日一宿の中受持して一も破らざば、