阿彌陀佛の國に往生す。八には正念にして若し能く齋月齋日の中房舍を遠離し、常に善師に詣せば、阿彌陀佛の國に往生す。九には正念にして常に能く淨戒を持ち、勤修して禪定を樂ひ、法を護りて惡口せず、若し能く是の如く行ぜば、阿彌陀佛の國に往生す。十には正念にして若し无上道に於て誹謗の心を起さず、精進にして淨戒を持ち、復无智の者を敎へて是の經法を流布し、无量の衆生を敎化す、是の如き諸の人等は、皆悉く阿彌陀佛の國に往生することを得」と。『彌勒問經』に云く。「佛の説きたまふ所の如く、阿彌陀佛の功德利益を願ひて、若し能く十念相續し、不斷に佛を念ずる者は、即ち往生することを得。當に云何が念ずべし。佛言はく。凡そ十念有り。何等をか十と爲る。一には諸の衆生に於て、常に慈心を生じて其の行を毀らず、若し其の行を毀らば、終に往生せず。二には諸の衆生に於て、常に悲心を起して殘害の意を除く。三には護法の心を發して、身命を惜しまず、一切の法に於て誹謗を生ぜず。四には忍辱の中に於て決定の心を生ず。五には深心淸淨にして利養に染まず。六には一切智の心を發して、日日に常に念じて廢忘有ること无し。七には諸の衆生に於て尊重の心を起し、我慢の心を除き、謙下して言説す。八には世の談話に於て、味着を生ぜず。九には覺意に近づき、深く種種の善根の因縁を起して、憒閙散亂の心を遠離す。十には正念にして佛を觀じ諸の想を除去す」と。『寶積經』の第九十二に、佛亦此の十心を以て、彌勒の問ひに答へたまへり。其の中に第六の心に云く。「佛の種智を求めて、一切の時に於て忘失する心无し」と。其の餘の九種は文少しく異なりと雖も、意は前の『經』に同じ。但結文(寶積經卷九二)に云く。「若し人此の十種の心の中に於て、隨ひて一心を成じ、彼の佛の世界に往生せんと樂欲せんに、若し生ずることを得ずといはば是の處有ること无けん」と云云。明けし、必ずしも十を具して往生の業と爲るには非ざるなり。『觀經』に云く。