皆上の如き歳數苦を受く。黑繩より死して還阿鼻獄に生ず。彼の家と出家との親近、并に諸の檀越、凡そ六百万億の人は、此の四師と倶に生じ倶に死して、大地獄に在りて諸の燒煮を受く。劫盡きぬれば他方の地獄に轉生し、劫成りて還此の間地獄に生る。久久にして地獄を免れ人中に生ずるも、五百世、生れてより盲たり。後に一切明王佛に値ひたてまつりて出家し、十万億歳、勤修精進すること頭燃を救ふが如くすれども、順忍をだに得ず。況や道果を得んをや。命終して還阿鼻地獄に生る。後に於て九十九億の佛に値ひたてまつるも、順忍をだに得ず。何を以ての故に、佛の深法を説きたまへるを、是の人信ぜずして破壞し違逆し、賢聖・持戒の比丘を破毀して、其の過惡を出せる破法の因縁もて、法として當に爾るべし」と云へる。已上略抄。四比丘とは苦岸比丘・薩和多比丘・將去比丘・跋難陀比丘 十万億歳頭燃を救ふが如くすれども、尚罪を滅せずして、還地獄に生ず。如何ぞ念佛すること、一聲・十聲して、即ち罪を滅して淨土に往生することを得んや。答。感師(群疑論卷三意)釋して云く。「念佛は五の縁に由るが故に罪を滅す。一には大乘の心を發すの縁。二には淨土を願生するの縁なり。小乘の人は十方の佛有りと信ぜざるが故に。三には阿彌陀佛の本願の縁。四には念佛の功德の縁なり。彼の比丘は但四念處觀を作すが故に。五には佛の威力もて加持するの縁なり。是の故に罪を滅して淨土に生ずることを得。彼の小乘の人は爾らず。故に罪を滅すること能はず」と。略抄  問。若し爾らば、云何ぞ『雙卷經』(大經卷上)に十念往生を説きて「唯五逆と正法を誹謗するをば除く」と云へるや。答。智憬等の諸師云く。「若し唯逆のみを造れる者は、十念に由るが故に生ずることを得。若し逆罪を造り、亦法を謗りし者は、往生すること得ず」と。有が云く。「五逆の不定業を造れるものは往生することを得るも、五逆の定業を造れるものは往生せず」と。是の如く十五家の釋有り。感法師(群疑論卷三意)諸師の釋を用ひずして自ら云く。「若し逆を造らざる人は念の多少を論ずるに、一聲も十聲も、