「如来懸に末代罪濁の凡夫を知ろしめす。立相住心なお得ることあたわじと。いかに況や相を離れて事を求むるは、術通なき人の、空に居て舎を立てんがごときなり」(定善義)と言えり。46「門余」と言うは、「門」はすなわち八万四千の仮門なり、「余」はすなわち本願一乗海なり。47おおよそ一代の教について、この界の中にして入聖得果するを「聖道門」と名づく、「難行道」と云えり。この門の中について、大小、漸頓、一乗・二乗・三乗、権実、顕密、竪出・竪超あり。すなわちこれ自力、利他教化地、方便権門の道路なり。48安養浄刹にして入聖証果するを「浄土門」と名づく、「易行道」と云えり。この門の中について、横出・横超、仮・真、漸・頓、助・正・雑行、雑修・専修あるなり。49「正」とは五種の正行なり。「助」とは名号を除きて已外の五種これなり。「雑行」とは正助を除きて已外をことごとく雑行と名づく。これすなわち横出・漸教、定散・三福、三輩・九品、自力仮門なり。50「横超」とは、本願を憶念して自力の心を離るる、これを「横超他力」と名づく
何況離相而求事者、如似無術通人居空立舎也。言門余者門者即八万四千仮門也、余者則本願一乗海也。凡就一代教、於此界中入聖得果、名聖道門、云難行道。就此門中、有大小、漸頓、一乗・二乗・三乗、権実、顕密、竪出・竪超。則是自力利他教化地、方便権門之道路也。於安養浄刹入聖証果、名浄土門、云易行道。就此門中、有横出・横超、仮・真、漸・頓、助・正・雑行、雑修・専修也。正者五種正行也。助者除名号已外五種是也。雑行者除正助已外悉名雑行。此乃横出漸教、定散三福三輩九品、自力仮門也。横超者憶念本願離自力之心、是名横超他力也。斯即専中之専、