无量寶交絡 羅網遍虚空 種種鈴發響 宣吐妙法音
此の四句は莊嚴虚空功德成就と名く。佛本と何が故ぞ此の莊嚴を起したまふや。有る國土を見そなはすに、煙・雲・塵・霧、太虚を蔽障し、 雨聲士林反 䨥 大雨下郭反 震烈して上よりして墮つ。不祥の烖 天火塟才反 霓 屈虹靑赤或白色陰氣五結反 毎に空より來て憂慮百端にして、之が爲に毛竪つ。菩薩此れを見そなはして大悲心を興したまへり。願くは我が國土には寶網交絡して羅は虚空に遍し、鈴・鐸 大鈴大各反 宮・商鳴て道法を宣べむ。之を視て厭ふこと无く道を懷ふて德を見む。是の故に「无量寶交絡羅網遍虚空種種鈴發響宣吐妙法音」と言たまへり。
雨花衣莊嚴 无量香普薰
此の二句は莊嚴雨功德成就と名く。佛本何が故ぞ此の莊嚴を興したまふ。有る國土を見そなはすに、服餝を以て地に布き請を所尊に延むと欲ふ、或は香花名寶を以て用もて恭敬を表せむと欲ふ。而て業貧感にして薄きものは是の事果さず。是の故に大悲の願を興したまへり。願は我が國土には常に此の物を雨らして衆生の意に滿てむ。何が故ぞ雨を以て言ふことばを爲すとならば、恐らくは取者の云ふことを、若し常に花衣を雨らさば亦虚空に填ち塞ぐべし。何に縁てか妨げざらむと、是の故に雨を以て喩と爲す。雨時に適ひぬれば則ち洪滔 水漫大他高反 の患へ无し。安樂の報豈に累情の物有らんや。『經』(大小二經意)に言はく。日夜六時に寶衣を雨り寶華を雨る。寶質柔軟にして其の上を履み踐むに則ち下ること四寸、足を擧ぐ時に隨て還復すること故の如し。用ゐること訖りぬれば寶地に入こと水の坎に入るが如し。是の故に「雨華衣莊嚴无量香普薰」と言たまへり。