佛心是無漏なるに由るが故に、其の樹亦是無漏なり。讚に云はく、正道の大慈悲、出世の善根より生ず。淨光明の滿足せること、鏡と日月輪との如しと。量と言ふは、一一の樹の高さ三十二萬里なり。亦老死の者無く、亦小生の者無く、亦初生漸長の者無し。起すること即ち同時に頓ちに起りて、量數等齊なり。何の意ぞ然るとならば、彼の界は位是無漏無生の界なり。豈生死漸長の義有らむや。四に其諸寶樹より下以爲映飾に至る已來は、正しく雜樹・雜嚴・雜飾の異相を明す。即ち其の四有り。一には林樹の華葉間雜して不同なることを明す。二には一一の根・莖・枝・條・菓等皆衆寶を具せることを明す。三には一一の華葉轉た互ひに不同にして、瑠璃の色の中より金色の光を出す。是くの如く轉た相間雜することを明す。四には更に一切の雜寶を將て之を嚴飾せることを明す。又讚に云はく、諸の珍寶の性を備へて、妙莊嚴を具足せり。無垢の光炎熾りにして、明淨にして世間を曜かすと。又讚に云はく、彌陀の淨國、寶樹多し。四面に條を垂れて、天衣挂り遶れり。寶雲蓋を含み、化鳥聲を連ね、旋轉して空に臨み、法音を奏して會に入る。他方の聖衆、響きを聽きて以て心を開き、本國の能人、形を見て悟を取ると。五に妙眞珠網より下色中上者に至る已來は、正しく樹上の空裏の莊嚴の相を明す。即ち其の七有り。一には珠網空に臨みて樹を覆へることを明す。二には網に多重有ることを明す。三には宮殿の多少を明す。四には一一の宮内に諸の童子多きことを明す。五には童子の身に珠の瓔珞を服せることを明す。六には瓔珞の光照の遠近を明す。七には光上色に超えたることを明す。六に此諸寶林より下有七寶菓に至る已來は、其の林樹多しと雖も雜亂無く、華實開くる時内より出でざることを明す。斯乃ち法藏の因深くして、自然にして有らしむることを致す。七に一一樹葉より