形體を蔽はず、乞匃して生活するのみ。飢寒因苦し、面目羸劣にして、人の色に類せず。其の前世の身の作す所に坐せられて、其の殃罰を受く。衆に示して之を見せしむるに、誰も哀む者莫し。市道に棄捐せられ、暴露痟痩し、黒醜惡極にして人に及ばざるのみ。帝王の人中の獨尊最好なる所以は何ぞ、皆其の前世宿命に人と爲りし時、善を作し、經道を信愛し、恩徳を布施し、博く愛して義に順ひ、慈仁にして喜びて與へ、飮食を貪らず、衆と之を共にして、遺惜する所無く、都て違諍無し。其の福徳を得て、壽終りて徳に隨ひて惡道に更らず、今生に人と爲り王家に生るることを得、自然に尊貴にして、獨り王となり、人民を典主し攬制し、人の雄傑と爲る。面目潔白に、和顏好色にして、身體端正なり。衆に共に敬事せられ、美食好衣、心に隨ひ意に恣なり。樂みに在りて欲する所は、自然に前に在りて、都て違諍無し。人中に於て姝好にして、憂無く、快樂にして面色光澤なり。故に乃し爾るのみ。

佛説無量淸淨平等覺經卷第一