依因る所無し。佛言はく。佛の威神甚だ重し、自在に作爲せんと欲する所、意に所作有らんと欲するに、豫して計らず。是の諸天すら皆常に自然に虚空の中に在りて住止す、何に況や佛の威神尊重にして、作爲せんと欲する所に自在なるをや。阿難佛の言を聞きて、則ち大に歡喜し、長跪叉手して言さく。佛の智慧は八方・上下、去・來・現在の事を知りたまふこと、無窮無極にして邊幅有ること無し。甚だ高大妙絶、快善極明にして好甚比無し。威神尊重にして當るべからず。佛阿逸菩薩に告げたまはく。其れ世間の人民、若しは善男子・善女人、無量淸淨佛國に往生せんと欲願する者に三輩有り。功徳を作すに大小有り、轉た相及ぶこと能はず。佛言はく。何等をか三輩と爲る。其の最上の第一輩とは、當に家を去て妻子を捨て愛欲を斷ち行じて沙門と作り、無爲の道に就て當に菩薩の道を作し、六波羅蜜經を奉行する者、沙門と作りて當に經戒を虧失せず、慈心精進にして當に瞋怒せず、當に女人と交通せず、齋戒淸淨にして心に貪慕する所無く、至精に願じて無量淸淨佛國に生ぜんと欲し、當念じて至心に斷絶せざれば、其の人便ち今世に道を求むる時、則ち自ら其の臥睡の中に於て、夢に無量淸淨佛及び諸の菩薩・阿羅漢を見たてまつり、其の人壽命終らんと欲する時、無量淸淨佛則ち自ら諸の菩薩・阿羅漢と、共に翻飛行して之を迎ふ、則ち無量淸淨佛國に往生し、便ち七寶水池の蓮華の中に化生して、則ち自然に身を受け、長大して則ち阿惟越致の菩薩と作り、便則ち諸菩薩と、共に番輩飛行して八方・上下の諸の無央數の佛を供養したてまつり、則ち智慧勇猛にして、樂ひて經道を聽き、其の心歡樂す。居する所の七寶の舍宅、虚空の中に在りて、恣に其の意に隨ひて作爲せんと欲する所に在り、無量淸淨佛を去ること近し。佛言はく。諸の無量淸淨佛國に往生せんと欲する者、精進して經戒を持ち、是の如きの上法を奉行すれば、無量淸淨佛國に往生する者は、衆の爲に尊敬せらるることを得べし。是を上の第一輩と爲す。佛言はく。其の中輩とは、其の人願じて無量淸淨佛國に往生せんと欲して、家を去て妻子を捨て愛欲を斷ち行じて沙門と作ること能はざる者と雖も、當に經戒を持ちて虧失を得ること無く、益々分檀布施を作して、常に佛語之深きことを信受し、當に至誠忠信を作して、沙門に飯食せしめ、佛寺を作り塔を起て香を燒き華を散らし燈を然し雜繒綵を懸く。