當に生死の痛痒を斷截し、惡の根本を拔かんことを憂へよ。當に泥犁・禽獸・薜茘・蜎飛・蠕動の類、惡苦の道を斷絶せよ。當に佛世に勱めて、堅く經道を持ちて敢へて失すること無かるべし。佛言はく。若曹當に善を作すべき者は云何、第一急に當に自ら身を端しくすべし、當に自ら心を端しくすべし、當に自ら目を端しくすべし、當に自ら耳を端しくすべし、、當に自ら鼻を端しくすべし、當に自ら口を端しくすべし、當に自ら手を端しくすべし、當に自ら足を端しくすべし。能く自ら撿斂して妄に動作すること莫く、身心淨潔にして、倶に善と相應し、中外約束して嗜欲に隨ふこと勿く、諸の惡を犯さざれ。言色常に和して、身行當に專なるべし、行歩・坐起動ぜず、事を作さば爲す所當に先づ熟々思慮して之を計るべし。才能を揆度し、圓規を視瞻して、安定にして徐に之を作爲せよ。事を作すこと倉卒にして豫め熟計せず、之を爲すに諦かならざれば、其の功亡ふ。夫れ敗悔後に在れば、唐らに苦みて身を亡ぼす、至誠忠信にして道を得て絶去すべし。佛言はく。若曹是に於て益々諸の善を作して恩を布き徳を施して、能く道禁を絶たず、忍辱・精進・一心・智慧、展轉して復相敎化し、善を作し徳を爲せ。是の如きの經法、慈心專一にして、齋戒淸淨なること一日一夜なれば、無量淸淨佛の國に於て善を作すこと百歳なるに勝れり。所以は何ん、無量淸淨佛の國は、皆積徳衆善、無爲自然にして、求索する所に在りて、諸惡の大さ毛髮の如くなるもの有ること無ければなり。佛言はく。是に於て善を作すこと十日十夜なれば、其の福を得ること他方佛國の中の人民の善を作すこと千歳なるに勝れり。所以は何ん、他方佛國は、皆悉く善を作すに、善を作す者は多く惡を爲す者は少し、皆自然の物有り、求作を行ぜずして便ち自ら之を得ればなり。是の間は惡を爲す者は多く善を爲す者は少し、求作を行ぜざれば、得ること能はざるなり。人能く自ら端しく制して善を作し、至心に道を求む、故に能く爾るのみ。是の間は自然有ること無し、自ら給すること能はず、當に求索を行じて勤苦して生を治むべし。轉た相欺怠して、調作(あざむき)て惡を好み、其の財物を得て妻子に歸給す。苦を飮み毒を食ひ心を勞し身を苦しむ。是の如くにして竟に至り、心意專ならず、周旋安からず、人能く自ら安靜にして善を爲し、精進して徳を作す、故に能く爾るのみ。佛言はく。我皆若曹及び諸天・帝王・人民を哀みて、皆敎へて諸善を作し、衆惡を爲さざらしむ。其の所能に隨ひて、輒て道を授與し、敎戒開導して悉く之を奉行せしむ。則ち君は率化して善を爲し、臣下に敎令し、父は其の子に敎へ、兄は其の弟に敎へ、夫は其の婦に敎へ、室家・内外・親屬・朋友、轉た相敎語して、