諸有泥犁・禽獸・薜茘、諸有老治勤苦の處、則ち皆休止して復治せず、憂苦を解脱せざる者莫し。諸有盲者は則ち皆視ることを得、諸の跛躄蹇なる者は、則ち皆走り行くことを得、諸の病者は則ち皆愈え起ち、諸の尫者は則ち皆強健に、愚癡なる者は則ち皆更に黠慧に、諸有婬泆・瞋怒なる者は、皆悉く慈心にして善を作し、諸有毒を被る者は、毒皆行(めぐら)ず。鍾鼓・琴瑟・箜篌、樂器諸伎は鼓せざるに皆自ら音聲を作し、婦女の珠環は皆自ら聲を作し、百鳥畜獸は皆自ら悲鴫す。是の時に當りて、歡喜して過度を得ざる者莫し。則ち時に爾日、諸佛國中の諸天・人、天上の華香を持ちて來り下り、虚空の中に於て悉く皆諸佛及び無量淸淨佛の上に供養し、散ぜずといふこと莫し。諸天各々共に、大に萬種自然の伎樂を作して、諸佛及び諸の菩薩・阿羅漢を樂しましむ。是の時に當りて、甚快樂すること言ふべからず。

佛阿難・阿逸菩薩等に告げたまはく。我無量淸淨佛及び諸の菩薩・阿羅漢國土の自然の七寶を説くに、當に異有ること無きや。阿難長跪叉手して言さく。佛無量淸淨佛の國土の快善なることを説きたまふ。佛の説きたまふ所の如く一も異なること有ること無し。佛言はく。我無量淸淨佛の功徳、國土の快善を説かんに、晝夜一劫すれども、尚復未だ竟へず。我但若曹が爲に小しく之を説くのみ。阿逸菩薩、則ち長跪叉手して、佛に問ひたてまつりて言く。今佛國は是の間より當に幾の阿惟越致の菩薩有りてか無量淸淨佛の國に往生すべし、願はくは之を聞かん。佛言はく。若し知らんと欲はば明かに聽きて心中に著けよ。阿逸菩薩言さく。敎を受けん。佛言はく。我が國より當に七百二十億の阿惟越致の菩薩有りて、皆無量淸淨佛の國に往生すべし。一の阿惟越致菩薩は、前後無央數の諸佛を供養し、次を以て彌勒の如く、皆當に作佛すべし、及び其の餘の諸の小菩薩の輩は、無央數にして復計ふべからず、皆當に無量淸淨佛の國に往生すべし。佛阿逸菩薩に告げたまはく。但我が國中の諸の菩薩の、無量淸淨佛の國に往生すべきのみにあらず、他方異國に復佛有まして、亦復是の如し。第一の佛を光遠炤と名く、其の國に百八十億の菩薩有り、皆當に無量淸淨佛の國に往生すべし。