念念に淨土の敎を聞かんことを思ひ、文文句句に誓ひて當に勤むべし。長時流浪の苦を憶想して、專心に法を聽きて眞門に入れ。淨土の無生亦別無し。究竟の解脱金剛の身なり。是の因縁を以て高座を請じたてまつる。佛の慈恩を報じて、法輪を轉ぜよ。衆等身心皆踊躍して、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。
高下に接して讚じて云へ。 下高に接して讚じて云へ。
願はくは往生せん、願はくは往生せん。衆生佛を見たてまつれば心開悟す。發願して同じく諸佛の家に生ぜよ。此の娑婆に住してより已來、久しく功無くして命を捨つること劫塵沙なり。自ら覺らんに心頑く神識の鈍きは、良に地獄にして銅車に臥せしに由てなり。銅車炎炎として居止し難し、一念の間に百び千び死す、直此の中に苦痛多きのみに非ず、一切の泥犂も亦是の如し。泥犂に一び入りぬれば、塵劫を過ぐ。畜生・鬼道、還此の如し。今人身を得て貪りて罪を造り、諸佛の聖敎に非毀を生ず。聖敎を非毀すれば罪根深し、良善を説くを謗れば苦に常に沈む。大聖神通力有りと雖も、能く相救ふこと無くして益々悲心したまふ。今道場の時衆等に勸む、罪の無窮なるを發露し懺悔せよ。衆等心を彼の淨土に同じくして、手に香華を執りて常に供養したてまつれ。
高座下座の聲の盡くるを待ちて即ち懺して云へ。
敬ひて白す。道場の諸衆等、今施主某甲及び諸の衆生の爲に、十方の諸佛・龍宮の法藏・舍利・眞形の菩薩大士・縁覺・聲聞等に歸命したてまつる。道場に現在して懺悔を證明したまへ。又白す。天曹・地府・閻天子・五道太山・三十六王・地獄典領・天神・地神・虚空神・山林河海一切の靈祇、及び衆の賢聖等、