十八の獄率有り、頭は羅刹の頭の如く、口は夜叉の口の如し。六十四の眼あり、眼ごとに鐵丸を散らし迸しむ、十里車の如し。鉤れる牙は上に出でて、高さ四由旬なり。牙の頭より火流れて、前の鐵車を燒く。鐵車輪の一一の輪輞をして化して一億の火刀・鋒刃・劒戟と爲さしむ、皆火より出でたり。是の如きの流火阿鼻城を燒き、阿鼻城をして赤きこと融銅の如くならしむ。獄率の頭の上に八の牛頭有り、一一の牛頭に十八の角有り、一一の角の頭より皆火聚を出す。火聚復化して十八の輞と成り、火輞復變じて火刀輪と作る、車輪許の如し。輪輪相次で火炎の間に在り、阿鼻城に滿てり。銅狗口を張り舌を吐きて地に在り、舌は鐵刺の如し、舌出づる時無量の舌を化し、阿鼻城に滿てり。七重の城内に四の鐵幢有り、幢の頭に火流れて沸涌泉の如し、其の鐵流れ迸りて阿鼻城に滿てり。阿鼻に四門あり、門閫の上に八十の釜有り、沸銅涌き出でて門より漫れ流れて阿鼻城に滿てり。一一の隔間に八萬四千の鐵蟒・大蛇有りて、毒を吐き火を吐き、身城内に滿てり。其の蛇哮吼すること天の震雷の如し。火鐵丸を雨らして阿鼻城に滿つ。此の城の苦事は八万億千なり。苦の中の苦なる者を集めて此の城に在く。五百億の蟲あり、蟲に八万四千のあり、頭より火流れ雨の如く下りて阿鼻城に滿てり。此の蟲下る時阿鼻の猛火、其の炎大きに熾なり、赤光の火炎八万四千由旬を照らす。阿鼻地獄より上より、大海の沃燋山を衝きて下すに、大海の水渧りて車軸許の如し、大鐵尖と成りて阿鼻城に滿てり。佛言はく。若し衆生有りて、三寶を殺害し、三寶を偸劫し、三寶を汚染し、三寶を欺誑し、三寶を謗毀し、三寶を破壞し、父母を殺害し、父母を偸劫し、父母を汙染し、父母を欺誑し、父母を謗毀し、父母を破壞し、六親を罵辱す。是の如き等の殺逆罪を作る者は、命終の時に、銅狗口を張り十八の車を化す、状金車の如し。