一には滅罪增上縁、二には護念得長命增上縁、三には見佛增上縁、四には攝生增上縁、五には證生增上縁なり。

[五縁功德分 滅罪縁]
滅罪增上縁と言ふは、即ち『觀經』の下品上生の人の如きは、一生具に十惡の重罪を造る。其の人病を得て死せんと欲するに、善知識の敎へて彌陀佛を稱すること一聲せしむるに遇はん。即ち五十億劫の生死の重罪を除滅す。即ち是現生滅罪增上縁なり。

又下品中生の人の如きは、一生具に佛法の中の罪を造る。齋を破し戒を破し、佛法僧物を食用して懺愧を生ぜず。其の人病を得て死せんと欲するに、地獄の衆火一時に倶に至る。善知識の爲に彌陀佛の身相功德、國土の莊嚴を説くに遇はん。罪人聞き已りて、即ち八十億劫の生死の罪を除く、地獄即ち滅す。亦是現生滅罪增上縁なり。

又下品下生の人の如きは、一生具に五逆極重の罪を造る。地獄を經歴して苦を受くること窮無からん。罪人病を得て死せんと欲するに、善知識の敎へて彌陀佛の名を稱すること十聲せしむるに遇はん。聲聲の中に於て八十億劫の生死の重罪を除滅す。此れ亦是現生滅罪增上縁なり。

又若し人有りて、『觀經』等に依て淨土莊嚴の變を畫造して、日夜に寶地を觀想する者は、現生に念念に八十億劫の生死の罪を除滅す。