又『灌頂經』に依るに、第三卷(意)に説きて云く。「若し人三歸・五戒を受持すれば、佛天帝に勅す。汝天人六十一人を差はして、日夜年月に受戒の人を隨逐し守護して、諸の惡鬼神をして橫に相惱害することを獲しむること勿れ」と。此れ亦是現生護念增上縁なり。
又『淨度三昧經』に説きて云ふが如し。「佛甁沙大王に告げたまはく。若し男子・女人有りて、月月の六齋日、及び八王日に於て、天曹・地府、一切の業道に向ひて、數數過を首して齋戒を受持する者は、佛六欲天王に勅して、各々二十五の善神を差はして、常に來らしめて持戒の人を隨逐し守護して、亦諸の惡鬼神の、橫に來りて惱害すること有らしめず。亦橫病・死亡・灾障無く、常に安穩を得しめん」と。此れ亦是現生護念增上縁なり。
又諸の行者に白さく。但今生に日夜相續して專ら彌陀佛を念じ、專ら『彌陀經』を誦し、淨土の聖衆莊嚴を稱揚し禮讚して、生ずることを願ぜんと欲せん者は、日別に誦經十五徧、二十・三十徧已上の者、或は誦すること四十・五十・百徧以上の者は、願じて十万徧を滿て、又彌陀の淨土の依正二報の莊嚴を稱揚し禮讚し、又三昧の道場に入らんを除きて、日別に彌陀佛を念ずること一万して、命を畢るまで相續せば、即ち彌陀の加念を蒙りて、罪障を除くことを得。又佛と聖衆と、常に來りて護念したまふことを蒙る。既に護念を蒙りぬれば、即ち延年轉壽、長命安樂なることを得ん。因縁の一一は具に『譬喩經』・『惟無三昧經』・『淨度三昧經』等に説くが如し。此れ亦是現生護念增上縁なり。
[五縁功德分 見佛縁]
又見佛三昧增上縁と言ふは、即ち『觀經』(意)に説きて云ふが如し。「摩竭提國の王の夫人を韋提希と名く。