濁世には還り入り難し 淨土の願逾々深し 金繩直くして道を界ひ 珠網縵くして林に垂れたり 色を見れば皆眞色 音を聞けば悉く法音なり 西方遠しと謂ふこと莫れ 唯十念の心を須ひよ  願はくは諸の衆生と共に安樂國に往生せん

南無して心を至し歸命して西方の阿彌陀佛を禮したてまつる。
已に窮理の聖と成りて 眞に徧空の威有り 西に在りて時に小を現ずるは 但是暫く機に隨ふのみ 葉珠相映飾し 砂水共に澂輝せり 無生の果を得んと欲はば 彼の土に必ず須く依るべし  願はくは諸の衆生と共に安樂國に往生せん

南無して心を至し歸命して西方の阿彌陀佛を禮したてまつる。
五山の毫獨り朗かに 寶手の印恒に分れたり 地水倶に鏡と爲り 香華同じく雲と作る 業深ければ往き易きことを成す 因淺くば實に聞き難し 必ず望むらくは疑惑を除きて 超然として獨り羣がらざれ  願はくは諸の衆生と共に安樂國に往生せん

南無して心を至し歸命して西方の阿彌陀佛を禮したてまつる。
心眞慈を帶びて滿ち 光法界を含みて團かなり 無縁能く物を攝し 有相定んで難きに非ず 華本心に隨ひて變じ 宮移りて身自ら安し 出世の境を聞かんことを悕はば 須く共に禪に入りて看るべし  願はくは諸の衆生と共に安樂國に往生せん

南無して心を至し歸命して西方の阿彌陀佛を禮したてまつる。
回向漸く功を爲せば 西方の路稍々通ず 寶幢厚地を承け 天香遠風に入る 開華重りて水に布き 覆網細かくして空に分つ 願生何ぞ意切なる 正しく樂の無窮なるが爲なり   願はくは諸の衆生と共に安樂國に往生せん