往生要集 卷上末 盡第四門半
天台首楞嚴院沙門源信撰
[二、欣求淨土 五妙境界]
第四に五妙境界樂とは、四十八の願もて淨土を莊嚴したまへば、一切の万物、美を窮め妙を極めたり。見る所は悉く是淨妙の色にして、聞く所は解脱の聲ならざること無し。香・味・觸の境も亦復是の如し。謂く彼の世界は、瑠璃を以て地と爲し、金繩もて其の道を界す。坦然平正にして、高下有ること無く、恢廓曠蕩にして邊際有ること無し。晃耀微妙にして奇麗淸淨なり。諸の妙衣を以て、遍く其の地に布き、一切の天人之を踐みて行く。
已上地相 衆寶の國土の一一の界上には、五百億の七寶所成の宮殿・樓閣有りて、高下心に隨ひ、廣狹念に應ず。諸の寶の床座には妙衣もて上に敷き、七重の欄楯、百億の華幢ありて、珠の瓔珞を垂らし、寶の幡盖を懸く。殿裏の樓上には、諸の天人有りて、常に伎樂を作して、如來を歌詠したてまつる。
已上宮殿 講堂・精舍・宮殿・樓閣の内外左右には諸の浴池有り。黄金の池の底には白銀の沙あり、白銀の池の底には黄金の沙あり、水精の池の底には瑠璃の沙あり、瑠璃の池の底には水精の沙あり。珊瑚・琥珀・硨磲・瑪瑙・白玉・紫金も亦復是の如し。八功德水其の中に充滿し、寶沙映徹して深きをも照らさざること無し。
八功德とは、一に澄淨、二に淸冷、三に甘美、四に輕耎、五に潤澤、六に安和、七に飮時に飢渇等無量の過患を除き、八に飮み已りて定んで能く諸根・四大を長養し種種の殊勝の善根を增益す 四邊の階道は、衆寶もて合成し、種種の寶華は、池の中に彌覆す。靑蓮には靑光有り、黄蓮には黄光有り、赤蓮・白蓮も各々其の光有りて、