皆上に向ひて靡き諸の髮を圍遶し、頂を遶ること五匝す。天の畫師の所作の畫法の如し。團圓正等にして細きこと一の糸の如し。其の糸の間に於て諸の化佛を生じ、化菩薩有りて以て眷屬と爲せり。一切の色像も亦中に於て見はる。廣觀を樂ふ者は、此の觀を用ふべし  四には耳厚く廣く長くして、輪埵成就せり。或は應に廣く觀ずべし。七の毛を旋り生じ、五の光を流出す。其の光には千の色あり、色ごとに千の化佛まします。佛ごとに千の光を放ちて遍く十方無量の世界を照らしたまふ。此の隨好の業因勘ふべし。『觀佛三昧經』(卷三意)に云く。「此の好を觀ずる者は八十億劫の生死の罪を滅す。後の世に常に陀羅尼人と爲し、眷屬と爲す」と云云。下去諸の利益皆『觀佛三昧經』に依て注す  五には額廣く平正にして形相殊妙なり。此の妙好の業因并びに利益、勘ふべし  六には面輪圓滿して、光澤凞怡たり。端正にして皎潔なること猶し秋の月の如し。雙べる眉の皎淨なること、天帝の弓に似たり。其の色無比にして紺流璃の光あり。來り求むる者を見て歡喜を生ずる故に、面輪圓滿す。此の相を觀ずる者は、億劫の生死の罪を除却して、後身の生處に面り諸佛を見たてまつる  七には眉間の白毫、右に旋りて宛轉せり。柔軟なること覩羅綿の如く、鮮白なること珂雪に逾えたり。或は次に應に廣く觀ずべし。之を舒ぶれば直くして長大なること白琉璃の筒の如く、放ち已れば右に旋りて頗梨珠の如し。丈六の佛の白毫は長丈五、右旋經一寸、周圍三寸なり 十方の面に於て無量の光を現ずること、万億の日の如くにして、具に見るべからず。但光の中に於て諸の蓮華を現ず。上は無量塵數の世界を過ぐるまで、華華相次で、團圓正等なり。一一の花の上に一の化佛坐したまひ、相好莊嚴し眷屬圍遶せり。一一の化佛復无量の光を出し、一一の光の中にも亦无量の化佛あり。是の諸の世尊は、行く者も無數、住る者も無數、坐る者も无數、臥す者も无數なり。或は大慈大悲を説き、或は三十七品を説き、或は六波羅密を説き、或は諸の不共法を説く。若し廣く説かば、一切の衆生より十地の菩薩に至るまで、亦之を知ること能はず。『大集經』(卷六意)に云く。「他の德を隱さずして其の德を稱揚す、此の相を得」と。『觀佛經』(卷一一意)に云く。「無量劫より晝夜精進して、身心に懈ること無く、頭燃を救ふが如く、六度・卅七品・十力・无畏・大慈・大悲、諸の妙功德を勤修して、此の白毫を得。此の相を觀ずる者は、九十六億那由他恒河沙微塵數劫の生死の罪を除却す」と