薄くして淨く、廣くして長く、能く面輪を覆ひ、耳髮の際より乃至梵天に至る。其の色赤銅の如し。或は次に廣く觀ずべし。舌の上に五の畫あり、猶し印文の如し。咲む時に舌を動かせば五色の光を出し、佛を遶ること七匝して還頂より入る。所有神變无量无邊なり。『大集經』(卷六)に云く。「口の四過を護りて、廣長舌の相を得」と云云。此の相を觀ずる者は、百億八万四千劫の罪を除き、他世に八十億佛に値ふ  十五には舌の下兩邊に二の寶珠有り、甘露を流注して舌根の上に滴らす。諸天・世人・十地の菩薩には、此の舌根无く、亦此の味无し。『大般若』に異説有り、勘ふべし。『大經』(北本卷二八・南本卷二六意)に云く。「飮食を施與するが故に、上味の相を得」と  十六には如來の咽喉は琉璃の筒の如く、状蓮華を累ねたるが如し。出したまふ所の音聲は詞韻和雅にして等しく聞えざること无し。其の聲洪きに震ふこと、猶し天の鼓の如く、發す所の言綩均なること、伽陵頻の音の如し。任運に能く大千世界に遍ず。若し作意する時は无量无邊なり。然るに衆生を利せんが爲に、類に隨ひて增減せず。『大經』(北本卷二八・南本卷二六意)に云く。「彼の短を訟はず、正法を謗らずして、梵音聲の相を得」と。『大集經』(卷六)に云く。「諸の衆生に於て、常に柔軟語の故に」と云云  十七には頸より圓光を出す。咽喉の上に點相の分明なる有りて、一一の點の中より一一の光を出す。其の一一の光前の圓光を遶りて七匝を滿足して、衆の畫分明なり。一一の畫の間に、妙蓮華有りて、華の上に七佛有り。一一の化佛に各々七菩薩有りて、以て侍者と爲る。一一の菩薩如意珠を執る、其の珠に金の光あり。靑・黄・赤・白及び摩尼の色皆悉く具足して諸の光を圍遶せり。上下左右各各一尋にして佛の頸を圍遶し、了了なること畫の如し。『无上依經』(卷下)に云く。「衣服・飮食・車乘・臥具、諸の莊嚴物を歡喜し施與して、身金色圓光一丈の相を得」と  十八には頸より二の光を出す。其の光万色にして、遍く十方一切の世界を照らす。此の光に遇ふ者は、辟支佛と成る。此の光は諸の辟支佛の頸を照らす。此の相現ずる時、行者遍く十方一切の諸の辟支佛の鉢を虚空に擲げて十八變を作し、一一の足の下に皆文字有りて、其の字十二因縁を宣説するを見る。 十九には鉠盆骨滿の相あり。光十方を照らして虎魄の色を作せり。