往生要集 卷下末

天臺首楞嚴院沙門源信撰
[一〇、問答料簡]
大文第十に問答料簡とは、略して十事有り。一には極樂の依正、二には往生の階位、三には往生の多少、四には尋常の念相、五には臨終の念相、六には麁心の妙果、七には諸行の勝劣、八には信毀の因縁、九には助道の資縁、十には助道の人法なり。
[一〇、問答料簡 極樂依正]
第一に極樂の依正とは、 問。阿彌陀佛の極樂淨土は、是何なる身何なる土ぞや。答。天台(觀經疏意)云く。「應身の佛、同居の土なり」と。遠法師(大經義疏卷上意)云く。「是應身應土なり」と。綽法師云く。「是報佛にして報土なり。古舊等相傳へて皆化土化身と云へるは、此れ大なる失と爲す。大乘同性經に依るに云く。淨土の中の成佛は悉く是報身なり、穢土の中の成佛は悉く是化身なりと。又彼の經に云く。阿彌陀如來・蓮華開敷星王如來・龍主如來・寶德如來等の、諸の如來の淸淨の佛刹にして、現に道を得し者、當に道を得べき者、是の如きの一切は皆是報身の佛なり。何者か如來の化身なる。由し今日の踊歩健如來・魔恐怖如來等の如きなり」と。已上『安樂集』(卷上意)  問。彼の佛成道したまひて、已に久しと爲んや如ん。答。諸經に十劫と云ひ、『大阿彌陀經』(卷上)には「十小劫」と云ひ、『平等覺經』(卷一)には「十八劫」と云ひ、