正覺阿彌陀 法王善住持
此の二句は莊嚴主功德成就と名く。佛本と何が故ぞ此の願を興したまふと。有る國土を見そなはすに、羅刹を君と爲す、則ち卛土相噉す。寶輪殿に駐 立馬長句反 まる、則ち四域虞无し。之を風の靡くに譬ふ。豈に本无らんや。是の故に願を興したまへり。願は我が國土には常に法王有して、法王の善力に住持せられむ。「住持」は、黄鵠子安を持てば千齡かへて起る、魚母子を念持すれば澩 夏水有て冬水无きを澩と曰ふ火岳反 をて壞せざるが如し。安樂國は正覺の為に善く其の國を持り、豈に正覺の事にあらざること有らんや。是の故に「正覺阿彌陀法王善住持」と言たまふ。
如來淨華衆 正覺花化生
此の二句は莊嚴眷屬功德成就と名く。佛本何が故ぞ此の願を興したまふと。有る國土を見そなはすに、或は胞血を以て身器と爲す、或は糞尿を以て生の元と爲す、或は槐棘の高き圻より猜狂の子を出す、或は竪子が婢腹より卓犖 零角反 の才を出す。譏誚 才召反 之に由て火を懷き、恥辱縁として以て氷を抱く。所故に願じて言たまはく。我が國土には悉く如來淨花の中より生じて、眷屬平等にして與奪路无らしめん。是の故に「如來淨華衆正覺華化生」と言たまへり。
愛樂佛法味 禪三昧爲食
此の二句は莊嚴受用功德成就と名く。佛本何が故ぞ此の願を興したまふと。有る國土を見そなはすに、或は巣を探りて卵を破り饛 盛食滿皃亡公反 饒 飽也多人消反 の饍と爲す。或は沙を懸けて帒を指すを相ひ慰む方と爲す。嗚呼諸子實に痛心すべし。